水泳が筋肉や脳に与える効果

こんにちは!
東京三鷹市のパーソナル水泳インストラクターの酒井やすはです。

水泳が筋肉や脳に与える効果をテーマに、お送りします。

「皇居の周りを走る人の年収が高い」とか「スポーツをやっている人は体も心もバランスがいい」など、いろいろ言われているスポーツと脳の関係ですが、水泳にフォーカスしてその魅力を味わってください。

もっともっと水泳が好きになるお話です。

水のなかは宇宙!!

水の中は無重力状態になります。
なんと、宇宙飛行士の訓練の中にも、水の中で作業をするものがあるのです。

そんな無重力状態の水中では、筋肉が緩む効果があります。
宇宙ほどではないですが、筋肉の筋が一つ一つ緩んで解放していきます。

水が怖いと感じる方の場合、水の中でも陸上と同じように体を使いがちです。
その時の水は重たく、粘っこい、もちっとした感じます。

ワッツやアイチ等のリラクゼーションをやって、今の緊張を1として、どのくらい体が緩むか10段階で表してみるのも手ですね。泳ぐ必要のないメニューで、しかもアイチは太極拳のような動きで、ワッツはインストラクターに体を預けることができれば赤ちゃんの頃に戻るような思わず寝てしまうほどの効果があります。

力の入れ具合の幅

思いきって「もうこれ以上できない!!と言うくらいの脱力した力」から「もうこれ以上できない!!というくらいの全速力の力」まで、10段階にして泳いでみましょう。

気持ちよく泳げる最適量、大会で泳ぐ最適量がどこなのか知ることができますよ。

大会で全速力で泳ぐのに、力が空回りするのは逆効果ですよね。またのんびり泳ぎたくても、肩に力が入ったままになっていれば気持ちよく水のサラサラ流れる感覚が分かりません。

水泳ではゆったりと筋肉の緊張を水に溶かすことが必要ですが、筋肉が強ばったままだとそこはいつも沈んでしまいます。
単に「力を抜くのが大事」というわけではないのです。
ですが、難しく考えずにとにかくトライしていくことが一番大切です。

水の気持ちよさはたくさんあります。
泳いでいるときの、腕から体にかけて、背中やお腹に流れる水流や温度、重さや軽さ、粘っこい感じ、水の音や反響する泡の音の違い、泡の大きさや小ささ、光の加減で見えてくる景色、水と空気の交じりあうところ、境界線、水で揺らぐ光と影やその色々のグラデーション…これらを五感でフル活用して水の世界を楽しみながら泳いでみてください。

筋肉の緊張は和らぎ、体を動かしながら脳がリラックスモードになります。

脳が休まって、皮膚にある細胞一つ一つが水を感じて、筋肉の動く幅が出てくる効果が生まれてくるのです。

筋肉の緊張の強い身体の障害をお持ちの方や、パソコン肩等の1つの姿勢が続いて悩まれてる方の中には、そのまま寝てしまう方もいます。

有酸素運動も無酸素運動も

水と楽しむことで、脳の中には「水中モード」ボタンのオン・オフがバチッと切り換えられるようになります。

水の中に入って頭から水を被っても、急に水をかけられてもへっちゃらなお子さんは、もうこのスイッチができてます。

水泳をしようと本格的に泳ぐ練習をすると、息を長く続けたり止める時間が出てきます。

長距離をゆったりと息を続けて泳げば有酸素運動となり、無呼吸で短距離をバシャバシャ一気に泳ぐと無酸素運動となります。

水泳では息の仕方1つで、両方の運動が叶います。

脳の中で起きていること

運動をするとき、一気に力を出そうとするとき、人は無意識に息を止めます。

これは動物が縄張り争いをしているとき等にも見られ、私達の体の中に生まれつき備わった能力です。

息を浅くしたり止めたりすることで心拍数が上がり、戦闘モードのスイッチが入ります。水の中ではゴーグルで分かりにくいですが、短距離ランナーのサングラスの奥のように目付きも変わります。
筋肉も、瞬発力系の筋肉が目覚めて、ここぞという爆発的なエネルギーを出します。

水泳と膵臓の関係

水の中でも同じことが起きますが、もう少し追加される効果が生まれます。

水の中に顔が入ると、無意識に息を止めます。酸素が供給されない中で水泳をするので、血液の中の酸素が少しずつ使われ減っていきます。
しかも水の中では、無重力状態なので、今動かしている筋肉以外の、解放された筋肉も四方八方に水圧や浮力を感じていて、その「一見使われていない筋肉」も陸上より多くの酸素を使います。

体が極限の酸素不足になっとき、膵臓が第2の心臓として目覚めます。

膵臓に蓄えられている血液が一気に全身をドッと流れて、その血液にある酸素が体に供給されます。

普段の運動でも膵臓は使われていて、膵臓の体積が小さくなるのですが、全身を動かす水泳はより小さくなる傾向にあります。

長く息を止めなければならないシンクロでは、半分にまで小さくなる選手もいます。

水泳で脳活?人に優しくなる?

競泳の場合、リレーを除いて基本的に個人競技です。

リレーがあるとは言え、バスケットボールやバレーボール等のいつも集団で動くわけではなく、一人が単独で動く時間が多く出てきます。

水泳も団体競技のように、相手に配慮しながら体を動かすのは主に練習の時です。
練習を人と一緒にやる、ときの水泳と、単独で水泳をするときでは脳の使い方が違います。

一人でコツコツ練習するとき、自分一人の体に集中する力が高まっています。脳は自分のために全力で働いてます。

一方、仲間といたり公共のプールで周りを意識して泳ぐと、人の泳ぎを見たりぶつからないように気を使って蛇行して泳いだりと、脳はフル活用されています。
体を動かしながら景色を見るだけでなく、「人の動きを見て自分がどのように泳ぐか」まで考えているのです。
水の中でじゃんけんしたり、子供がお互いに遊んで水中で笑ったりすることもコミュニケーションです。
水の中という脳にとって慣れない無重力の世界で、相手の気持ちを察したり、じゃんけんのタイミングをお互いに図ろうとしなければ決してできない遊びなのです。
笑って口から空気が出すぎれば遊びづらくなるので、出す空気の量も自然と調整しています。

「人と一緒にいる」「人に見られている」という環境に加えて、水泳という特性もあって、このときの脳は全力で酸素も血液もジャージャー流れているとイメージしてください。
普段泳ぎなれている方は意識しにくいかもしれませんが、結構なエネルギーの消耗なのです。

こうして、脳が自然に鍛えられていくと、気持ちが変わってきます。

目の前の「大会で○位入賞を目指そう!」という意識だけではなく「本当に心から水泳を楽しもう・やろう」という意識も芽生えてきます。

更には「自分のため」だけではなく「友達のため・家族のために頑張る姿を見せたい」という「社会貢献」に近い欲求が目覚めてきます。

人間の欲求の中では、生理的欲求が落ち着いた更に上のクラスにある欲求で、とても「意識が高く」見える人になるのです。

水泳に限らずですが、長くスポーツをやっている人の気持ちが安定していたり、過剰にマイナス思考に陥らなかったり、反省と落ち込みの差を区別できるようになったりできるのは、こうして脳も筋肉も鍛えられえて、気持ちも意識もガラリと変わっているからなのです。

「水泳」は全身運動なので、自分の気持ち次第で「腕のどこなのか」「脚のどこなのか」ピンポイントで意識していくところから始めてみましょう。

泳ぎ終わった後の自分の気持ちを素直に聞いてみてください。

考えながら泳ぐと?

水泳では自分の体を支えてくれるのは、インストラクターの補助でも水でもありません。
お水はクッションとしてサポートはしてくれますが、一番は「自分の体は自分で支えている」ところが大きい運動です。

重力に頼らなくても、腕と頭と脚との位置関係、どれだけ腕が体から離れているのか、脚がどこまで伸びているのかを意識できるかがポイントです。

ゆっくり泳いでいるときほど気持ちに余裕が生まれているので、中指の先から脚の指先まで隅々まで意識を向けやすくなります。
集中して速く泳げば泳ぐほど、体の意識は小さくなっていきがちです。

そこを、「もっとダイナミックに泳ぎたい」「元気な泳ぎができたらいいな」「水をたたかずやさしく丁寧に接したい」などなど「考えながら泳ぐ」ことで、体の使い方がみるみる変わります。

自分ではそこまで意識していなくても、水の流れが変わっていた李、水しぶきの水の玉一つ一つがきれいな球体になっていたり、弧を描いていたりと、無駄のない美しい泳ぎができます。

「元気になりたいときに、こんな曲をかけよう」と頭の中で曲をイメージして泳いだりすると、「元気な」水泳になりますし、「落ち着いた曲」をイメージすれば「しんみり落ち着いた泳ぎ」になります。こうして普段の泳ぎと比べてみると、よりよい泳ぎ方が見つかることも多く発見できる効果や、リフレッシュして泳ぐ効果が生まれます。

この手順とは逆に「なりたい自分」をイメージして泳いで体を感じることも効果的です。
「私はこんなにバシャバシャ泳げるんだ」「落ち着いてやれば意外とできる」などなど、筋肉の動く幅と、脳の中の「10段階評定」のふり幅が増えて経験値がたまり、動かし方のレシピが脳の中に増えていきます。

これを繰り返すことで、自転車をこぐことと同じように、「楽かつ進む水泳」の最適量を体で感じることもできますし、上がりすぎたり下がりすぎたりしてエネルギーが有り余った気持ちを上手に発散することが叶う効果があるのです。