子供の発達障害の特徴や対応について アスペルガー障害編

こんにちは!
東京三鷹市のパーソナル水泳インストラクターの酒井やすはです。

発達障害についてシリーズでお伝えしています。
今回はアスペルガー障害についてお送りします。

学校では「あいまいさが分かりにくい」「空気が読めない」「博士タイプだ」などなど、色々なことが呼ばれたりする障害です。自閉症の一つとして区別されなくなりましたが、色々なものの見え方があることやそれを知ることで、より広くその人となりを分かり、人間関係を築いていけると考えて記事を書くことにしました。

具体的にどのような障害なのか、プールでの対応も含めてみてみましょう。

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こちらでは障害の表記を「障害」とさせていただきます。
福祉畑で働いていると、「表記よりも中身の方が大事だ」と思う反面、やはり気にされる方もいらっしゃると思うので、その理由を説明いたしますと、一つに私自身とその周りの方は表記よりも中身についてしっかり話し合う仲間が多い環境で生きてきたということと、音声読み上げソフトにかけた際に「障がい」表記では「さわりがい」等と誤った情報をお伝えしてしまうため、「障害」表記に統一させていただいております。

障害のあるなしに関わらず誰もが暮らしやすい社会となることを願い、お伝えしていきます。
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アスペルガー障害ってなあに?

自閉症と同じく脳に障害があるといわれており、脳が部分的に少し小さかったり大きかったりすると報告している研究者もいますが、全員ではありません。

脳は運動する部分、考える部分などいくつかの部分で仕事を分けており、それぞれがリンクして働いていますが、このリンクがうまくいかない部分で「人の気持ちを察することができない」「算数は大得意だけど読解問題が苦手だ」など目に見える部分にばらつきが出て現れてきます。

3歳までに集団行動が苦手だったり、目立って同じことを繰り返したりするなどして気づくことがあります。知的な遅れが目立たないことで、「知的障害のない自閉症」として区別していたりしていました。

アスペルガー障害の原因は?

他の発達障害と同じく、根本的な原因は明らかになっていません。

脳の分野によって、できることやできないことの前に、働きが活発だからできる、活発でないために興味が持てない、といったことが出てきます。

アスペルガー障害の特徴は?

また脳の中の「視覚」「聴覚」「嗅覚」など五感の分野に過敏さや鈍感さをもつ方が多く、サングラス無しではまぶしすぎて見ていられなくなってしまったり、人よりも音が大きく聞こえてうるさく感じてその場で座り込むしかなかったり、人よりも肉のにおいがくさやのように強烈に感じてしまい気になって臭くて食べられない、などといった支障が出てきます。過敏な方では、風に乗ったにおいで人が分かることもあります。
運動機能に鈍感な方では体を思うように動かせず、暑さや寒さが分からずにいたりします。温度調節を自然とできなくて、熱中症や風邪をひくなどの悩みも出ます。

人の気持ちを察したり考える分野に障害がある方の場合、「その髪型は似合ってない」と思ったことをそのまま言ってしまったり、空気を読んでニュアンスを感じて…ということができず「だいたいこのくらい」の「あいまいさ」をどうしていいかわからないことも多くあります。「相手が起こっている理由が分からない」「言ってはいけないことがあるのはわかる(が、どの言葉なのかが分からない」」のはこのためです。
同時に自分の気持ちを察することも苦手で、急に感情が爆発してしまったりパニックになってしまったりと、人よりもコントロールが難しいことも多くあります。

また脳の働きが活発な部分とそうでない部分のギャップが大きく、「歴史博士だ」と興味のある分野(脳の働きが活発な分野)がある一方で、「算数は全然だめだ、やってもうまくできない」と温度差が激しく、できなかった経験が重なることでやる気も自身もそぐわれているように見えることも特徴です。

逆にはっきりと「○㎏の重さ」などと言われたほうが分かりやすいのです。

アスペルガー障害の人の中で起きていること

アスペルガー障害の方が私たちと比べてどれだけのものに感じているのか、例を挙げてみました。本当に人それぞれではありますが、感覚が違うことで周りに理解されなくて悩む方は多くいます。

・プールの塩素臭が苦手で息苦しい
・本をめくる音が騒音並みに聞こえる
・風や雨が人にたたかれているレベルぐらいに痛いと感じる
・髪を切ってもらうことを痛いと感じる
・大けがして血が出ているのに痛みも全く気が付かないで、貧血になる
・見たまま写真のように空間まるごと記憶するので、悪いこともその時の天気や自分の感情、相手の話したことも含めてすべて覚えていて、うつや引きこもりの原因にもなる
・臭いで人が分かることがある
・舌触りでも痛いと感じるので、食器の材質に気を付けたり、プリンや豆腐など滑らかなものしか食べられないことがある
・味覚が敏感でかなり塩を入れないと味を感じない
・ルールはきちんと守りたいので、あいまいさが分からない・許されるあいまいさが分からなかったり許せない

できないこととできることのギャップが大きいことで、「さぼっている」ように見られたり、指摘されがちですが、一番反省していたり、言われたことで堂々巡りになることもアスペルガー障害の特徴でもあります。
本人にとって不便なことはあっても、それを不幸だと決めつけたり「どうせまた遅刻する」とできないと決めつけたりされるのは当然ですが残念に感じています。

プールの塩素臭が苦手だけど

プールの塩素臭が苦手な場合、無理に水泳をするのもかなりの酷だと感じています。
陸上で体を鍛えるなど、別の方法もたくさんあります。

それでもどうしてもという場合、プールによっては塩のプールがあり、塩素臭がある程度抑えられているので、通うプールを選ぶことで緩和できます。
また川や海など塩素臭がしない、本人が安心でき、水と楽しめる環境で水と友達になることもできます。

あいまいな指示が苦手なので、「25mを8本やります」などときっぱり言い切ることや、「腕はこうしたほうがいいと思う」という伝え方よりも「こう動かしてみよう」とはっきりわかりやすい説明の方が助けになります。

また、周りの音に紛れてインストラクターの声が聞こえていない場合もあります。プールという環境そのものが、音を反響しているので聞こえづらい構造になっていることも原因です。
近くではっきり大きな声を出して説明したり、正面から話しかけるなどの視覚で気づいてもらうなど少しの工夫でできることもあります。

また、体を動かすことが苦手な場合、先生の見本を上からではなく水中からどの部分を見てほしいとしっかり伝えてから見本を見せるなどすると、説明が分かりやすく理解してもらいやすいものになります。

集団行動が苦手な方が多いので、グループレッスンより少人数レッスンや個別レッスンの方が良いか、相談してみることもできます。

どうしても本人が痛いと感じる刺激を避ける工夫も必要かもしれません。
スクールならばいつもそれができるわけではないでしょう。
本人にできるときとできいないときがあることを伝え、その上でできる日は対応しできない日もあることを分かってもらったり、「刺激全体を避けなけれならないのか、一部分だけでも大丈夫なのか」「時間を変えれば大丈夫なのか」などより具体的に困っているポイントがどこなのか相談して、どのくらいの配慮ならいいのかお互いの妥協点を見つけることも大切なことです。

補助の仕方によっては、腕を触られることで「痛い」と感じる方なら口頭で補助をすることもできます。

お互いの理解を深めて、よりよいスクール運営や、水泳を楽しむきっかけが見つけるといいですね。