子供が発達障害と感じたら?特徴は?対応は? 自閉症編

こんにちは!
東京三鷹市のパーソナル水泳インストラクターの酒井やすはです。

今回は、発達障害をテーマにお送りします。
身体障害のように目で見える障害と違い、目で見ても分かりづらく、知的障害とも違い、「そもそも発達障害って何?」と思う方が多いのではないのでしょうか?
私も初めて聞いたときは「発達に障害があるってどういう意味なんだろう?」と思いました。
なかなか分かりにくいから「気持ちが理解できない!」「それってわがままじゃないの?」とご意見も一番多く聞かれることもあります。(実際脳波を調べれば障害とわがままとの差は分かるのですが、私たちがいつも脳波を測れる環境はありませんしね)
これを読めば、「発達障害者はこんな気持ちだったんだなぁ」「発達障害とわがままは違うんだなぁ」などなど分かるように、なるべく分かりやすく書きました。

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こちらでは障害の表記を「障害」とさせていただきます。
福祉畑で働いていると、「表記よりも中身の方が大事だ」と思う反面、やはり気にされる方もいらっしゃると思うので、その理由を説明いたしますと、一つに私自身とその周りの方は表記よりも中身についてしっかり話し合う仲間が多い環境で生きてきたということと、音声読み上げソフトにかけた際に「障がい」表記では「さわりがい」等と誤った情報をお伝えしてしまうため、「障害」表記に統一させていただいております。

障害のあるなしに関わらず誰もが暮らしやすい社会となることを願い、お伝えしていきます。
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「発達」ってなぁに?

「発達」とは、簡単に言いますと、人が成長していくに従って、その文化や生活の中で、年齢に応じてできることが増えたり、できることが組み合わされて複雑なことができるようになったり、それにより活動が広がったりすることを言います。

赤ちゃんが成長して、二語文が話せるようになったり、脚で立つことができるようになったり、また立つだけではなくどこか自分の行きたいところへ行くことができるようになるなど、この過程を発達と言います。

高齢者になると「できないことが増えてきて困る」と言われることもあります。
体力的にできない部分が増えるものもありますが、体を鍛えてスポーツに打ち込んで結果を出したり、今までやってこなかったことにチャレンジしてできるようになることや、経験から総じてモノを考えることができることも発達の一つです。
子供も同様に、赤ちゃんの時に出ていた反射が成長と共に消えて、代わりに別のことができるようになることも発達です。
人間は一生、発達し続けるのです。

「発達障害」ってなぁに?原因はあるの?

発達障害とは、先天的に脳に障害があり、そのために人間の発達の中の「人とかかわる部分、社会的な部分」に関して障害が出てくるものを主に指しています。
先天的に脳に障害があるため、知的障害を伴うこともあります。
別の記事に、知的障害の診断基準がIQ(知的能力)や社会生活を営むための「適応能力」とお伝えしていますが、発達障害の診断ではEQという「人とコミュニケーションする能力」や「適応能力」などで診断します。知的障害と同じく、原因は分かっていません。

障害は発達過程(成長過程)で現れるので、子供のころに「おや?」と分かる人もいれば、大人になってから分かる方もいます。
知的能力に問題がない場合、社会人になってから気付く場合もあります。
知的能力に問題が出てこなかったため大学や大学院まで進んでいる方も多いので、「子供のころは気にしていなかったのに大人になって障害が出た」と思われる方もいますが、実際は「学校生活の中で障害を気にする場面が少なかった」が「社会に出て人との接し方が上手くいかない場面が多く出てきた」ということが少なくありません。

先天性の障害のため、障害は生涯にわたり、年齢と共に目に見えて不便さを感じたりされることが多いです。

発達障害と知的障害の違いは?

先天的に脳に障害があるため、知的障害を伴う発達障害の方と、知的障害のない発達障害の方もいます。脳の中の、体を動かす部分に障害の範囲が広がっていれば身体障害を伴うように、社会生活をやっていこうとする部分のほか知的活動の部分に障害の範囲が広がっていれば、知的障害を伴う発達障害となるのです。

ただし、知的障害とその範囲に違いがあります。
わかりやすく言いますと、知的障害は「全般的に」苦手があり、知的障害を伴う発達障害の方は「ピンポイント」で苦手なところがあります。

学習障害(LD)という障害を聞いたことはありますか?簡単に言いますと、勉強すべてが苦手ではなく、「文字を読むことだけが苦手」「算数だけ苦手」と言うように特定の分野だけが難しく感じる障害なのです。
知的障害が勉強や人とのかかわり全般について、理解の進みが周りよりも遅くなる一方、学習障害では一つのポイントが難しく感じるのです。
識字障害の方に文章を写してもらったとき、「漢字」を部首などの一まとまりごとにバラして一マスに一パーツずつ書いていきます。目では同じように見えていても、いざ書こうとするとうまくアウトプットすることが苦手なようでした。
読字障害の方は、例えば教科書や演劇の台本など文章があったとして、それを読もうとしても読むことができず、文章を聞いて暗唱していました。

発達障害の種類は?

身体障害の場合、動かしにくい部分や内臓の弱い部分に応じて種類が分かれたり名前を付けられたりします。発達障害にも、知的障害と同じように目立ってやりにくい部分に応じて名前を付けて区別しています。

いくつかご紹介します。すべてに当てはまるわけではなく、人により個人差があるのであくまで参考程度にしてください。

自閉症

特徴
生まれてから3歳ごろまでに次の様子が見られて気づかれる方が多いです。
① 人とのコミュニケーションが苦手、人付き合いが苦手(ママと呼ばない、耳は聞こえてはいるけれど目を合わせないなど)
② 想像力を働かすことが苦手
③ 人よりも目立ったこだわりがある

どうしてそう感じるの?

脳は人間の情報収集機関です。
五感から「明るい・熱い・なめらかな舌触り…」などなど色々な「感覚」を受け取って、私たちは「明るいからサングラスをかけよう・熱いから冷ましてから食べよう・なめらかだからおいしいな」と、行動に移すために判断したり体を動かしたり、気持ちのいいことを知ったりします。

自閉症の方は、この中枢神経の中の「感覚」を感じる部分や、感覚を感じて手足など体に指令を伝える部分に障害があり、「人よりも鋭敏・鈍感」といった独特な感じ方をしたり、判断に迷うことがあるのです。

知的能力にも遅れがある方の場合、知的障害の方と同じように年齢が上がるにしたがってできることに遅れが出たり、学校の勉強の理解が難しく感じたりします。
※あくまで知的能力とは、学校の成績とは別物です。日常生活のことも含まれます。詳しくは知的障害のページで!

具体的にどんな感じ方をしているの?

私たちの身の回りには様々なモノやヒト、音…があります。
私たちの脳は自然と、「今聞きたい・知りたい・見たい…」ものに自然とアンテナを張っています。こうして脳内で選択しているから、周りがうるさい環境でも友達の声を聴き分けたり、見たいものに視点を集中することができます。
自閉症の人は独特の敏感さと鈍さをもっており、すべての音の情報が同時に同じ大音量で聞こえたり、目の前の光が明るすぎて見えたり、逆に声を掛けられていることに気づかないくらい鈍かったりする特徴があります。
皮膚の感覚も同様に、握手や頭を撫でられることが「激痛」に感じる方もいれば、強く握らないとわからないくらい鈍い方もいます。
「目に見える情報がすべて」「言葉通りの情報がすべて」だと感じる方もいらっしゃいます。目の前のことに100パーセント力を使っているので、察するところまでなかなか向くことができず、目の前のことがすべてで気を回すことができなかったり、言葉通りに受け取って誤解してしまったりする場面に逢いやすいのです。私も水泳のレッスン中、「自分に背中があるとは知らなかった」と言われたことがあります。

対応の仕方ってあるの?

人それぞれ違いますが、やはり知的障害の部分でもお話ししたように、特別扱いや「こんな傾向にあるんだって」と先入観で判断せず、目の前の一人の人としてのおつきあいが大前提です。

ただ、いくつかの傾向はあります。

例えば、初めての場所や人・物事に対しての緊張感が極端だったりします。
同じ言葉を繰り返したり、ドアの前で止まって足踏みをしていたり、安心しようと同じものを一列に並べたりなどして周りが気づくことができます。
何が緊張の原因なのか一緒に探したり、音を消すなど工夫できるところで工夫したりすることも考えます。前もってスケジュールを伝えておくことも工夫の一つです。もちろん、工夫しなくても「できちゃった」こともあるので、一概にすべての刺激を取り除く対応が適切かというわけではありませんが、自閉症ご本人の理解は必要になります。

また、コミュニケーションの取り方も、自閉症の方ご本人の耳は聞こえてはいても、数や目の前にないもののイメージが難しかったり、人への伝え方や言葉の選び方がわからない場合が多くあるので、絵カードを使ったり、手話やジェスチャーを使ったりなど、その人に合わせたやり方で会話したりします。私も水泳レッスン中、絵カードを使ってレッスンしています。

勘違いをしてはいけないのは、自閉症の方はいつも手助けが必要なのではありません。
こだわりを持っているからこそ、一つのことに集中して取り組むことができて、丁寧にこなしていくので、同じ動作を繰り返す水泳やランニングはとても合っているのです。
水はきらきらと反射しており、それに夢中になることもありますが、うまく導いていけば上手に泳げることが多いのです。

自閉症の人は「困った人」と誤解されがちですが、こう見てみると「困っている人」なのです。