子供の身体障害の特徴と対応について てんかん編

こんにちは!
東京三鷹市のパーソナル水泳インストラクターの酒井やすはです。

今回はてんかんをテーマにお送りします。
てんかんは障害ではなく病気というとらえ方が多いのですが、他の障害と合併していることが多いことと、スイミングスクールで聞かれることが多いものなので、記事を載せることにしました。

てんかんのあるお子さんは多くいらっしゃいます。てんかん発作がなければ学校の体育や運動会も参加できますし、お友だちと遊んだりできます。もちろんnプールが好きな子供もいます。

一方、親御さんの中には、「てんかんと言うと、スイミングスクールの契約を断られるだろうし、今は薬を飲んで症状が出ることもないから、言わないでおこう」と言わないでおいたり、実際の練習中に発作が起きてスクール側から「どうして契約のときに話してくれなかったんだろう」とトラブルになるケースもよく聞きます。

てんかんのあるお子さんを守るためにも、水泳とどうやって上手に付き合っていけるのか考えていく参考になればと思います。
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こちらでは障害の表記を「障害」とさせていただきます。
福祉畑で働いていると、「表記よりも中身の方が大事だ」と思う反面、やはり気にされる方もいらっしゃると思うので、その理由を説明いたしますと、一つに私自身とその周りの方は表記よりも中身についてしっかり話し合う仲間が多い環境で生きてきたということと、音声読み上げソフトにかけた際に「障がい」表記では「さわりがい」等と誤った情報をお伝えしてしまうため、「障害」表記に統一させていただいております。

障害のあるなしに関わらず誰もが暮らしやすい社会となることを願い、お伝えしていきます。
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てんかんってなあに?原因は?種類は?

てんかんは病気が原因のものと、脳に何らかの怪我で起きるものとあります。
脳の障害のため、人により知的障害や学習障害、自閉症スペクトラム等を合併していることもあります。

発作は種類があり、意識を失わない(自分で発作が起きていると発作中に分かる)単純発作や、意識を失う複雑部分発作もあります。

また全般性発作と言う、てんかん発作で典型的なバタンと倒れてしかもどこから電気信号のあらしが来たのか分からない強直間代発作があります。脳のどこに意識を失う部分があるのかは個人差があるので、他にもボーッと眠たいように見える欠神発作、脱力していく脱力発作、ビクッと体が突っ張るミオクロニー発作とあります。

顔の一部がピクピクするチックとは違います。

体調不良や睡眠不足額は発作が起きる可能性が高くなると言われています。水面などの光が原因の場合は、水泳を避けることも医者と相談しておきます。

8割は薬で治ります。

てんかんの特徴ってあるの?

発作の予兆は本人でもわからないのです。急にバタンと倒れてしまいます。発作の時間は1分以内で終わります。
本人はその様子を覚えていないこともあります。

発作は体の全体や半分、一部分など個人差はあります。
脳の中の電気信号が乱れて、「あらし」が起きたときがてんかん発作です。

脳の神経細胞が発作を起こすと、クセのようになってしまい繰り返し発作が起きやすくなります。

個人差はありますが、幼児のときに発作が出やすく、成長するに従って収まりやすくなります。

痙攣してしまったり、勝手にガクガク動いてしまったりします。白目になったり、顔色や手先などの末端が青く悪くなったり、うーっと唸る声が出ることもあります。
症状はすぐに収まりますが、発作の時に筋肉がかなり緊張していたために、発作の後は体が疲れきっていて眠くなることもあります。

発作がを抑えるために、てんかん発作を抑える薬を定期的に飲む必要があり、また睡眠をとって体を休ませることで予防しています。

水泳をしたい!そんなときのあれこれ

お医者さんと確認しておきましょう

薬を定期的に飲んでいることで発作が抑えられ、水泳中に発作が起こることがないことを確認しておきましょう。

また副作用で眠くなることもあるので、薬の量が増えたときには体調を見ながら、思いきってプールを休むか、参加できそうなら休み時間を多くとっておくことや、浅いプールで練習するなど対応を考えます。

また、入れることになったとき、万が一の用心で、水泳帽子の色を分けておく子供もいらっしゃいます。

本人にも周りの子供たちにも、何で色が違うのか理解してもらいます。
飲み忘れてしまった場合、プールに参加できないこと等も確認しておきます。

発作が起きたときは?

万が一発作が起きてしまったら、本人が近くにある道具や人にあたってケガをしないようにどけたり、発作を無理に抑え込んだり、名前を呼んだりすることは避けます。つい名前を呼んで助けたくなりがちですが、これがもとでそれまでに食べていたものを吐き出してしまい、気管につまる危険性があるためです。唾液がのどにつまることもあるので、顔を横に向けると予防することができます。

インストラクターなど周りの大人は、本人を見守る人、呼吸がしやすいように服を緩める人、物をどかす人など役割を持っておきます。無理に口の中のものをとろうとすると、救助者が噛まれる危険もあり、また本人もびっくりするので避けます。口の中のものが原因で息が詰まることは少ないようです。

発作が収まってから、ケガしていないところをチェックして、傷があれば手当をするなど対応します。
発作が起きたときの時間を確認し、5分以上たっても発作が続くようなら病院に連れていきます。

プールサイドで倒れてしまったら

近くにある道具等にぶつからないよう、物をどかしたり壁から離れたりして本人が怪我をしないようにします。

インストラクターは救急の練習と同じく、万が一てんかん発作て子供が倒れたときには、インストラクターを呼ぶ人、道具を片付ける人、見守る人など役割分担する練習をしておくことも大切です。

また発作のときに失禁することもあります。本人が意識を戻したときに恥ずかしい思いをしないために、バスタオルで周りを隠すなどプライバシーを守る工夫も必要です。

プールの中で発作が起きたら

プールで発作が起きたら大変危険です。
すぐにプールサイドに引き上げて応急手当を開始します。
インストラクターは普段から万が一の救急法の練習をしておきましょう。

アクアマルシェでも応急手当や救助法の練習を重ねています。
「障害のあるなしにかかわらず、それぞれができることをする」をモットーに生徒さんにも米国の応急手当・救急法の国際資格を持っています。また、これからはプールサイドで水にぬれている状態の方へのAED訓練や人工呼吸など、より実践的な練習の場も行う予定です。資格をお持ちのない方には、知識のベースとしてぜひ受けていただいて、練習会に参加してもらえたらと考えています。

子供が応急手当を学ぶといじめが減る

あくまでも、てんかん発作が起きたときに子供にやらせるという意味ではありません。
ただ、応急手当は一部の人だけが行うのものではありません。
親子で、子供たち同士で知っておくことで、日常生活で万が一のときの早い発見と救助に繋がります。
ある保育園の入園の条件に、親御さんが必ず応急手当訓練をうけることが組まれている保育園もあり、そこでは親御さんも先生も意識が高く、いじめやモンスターペアレントがいないそうです。

普段から子供が応急手当を学んでおくことで、いじめを減らす効果があるといわれています。子供も応急手当を練習することで、命の尊さを感じ取ってくれるようです。

水泳でケガが起きるとき、軽いけがと大きなけがのどちらかがほとんどです。
プールサイドで転んで擦り傷を作るか、飛び込み練習で頚椎損傷のような大事故につながる大きなけがと、間が少ないのです。だからこそ、応急手当をスポーツのときに学んでおくことで、命の大切さを知るきっかけにも、自分も友達も守ることができる人へと成長させてくれるのです。

発作の後の対応は?

発作のときは脳が電気信号の乱れでかなり疲れ切っている状態です。
そのまま寝てしまうこともありますので、寝て元気になるのを待ってあげます。
周りが大騒ぎしていても、本人は発作が起きているときの周りの状況が分からないので、発作が収まって意識が戻ってきたときに「なんともなかった」と思うことが多いようです。

発作を見ていた子供がいれば、子供たちを安心させて、発作の説明をしてあげます。
本人の発作の様子や失禁したことをからかったり、応急手当のときにAEDを使えば服を脱がしたことを話のネタにすることは絶対にしてはいけません。本人のプライバシーを守ることが大切なのはこのためです。
過去に学校現場で、プライバシーの配慮がなかったことで周りから揶揄され、それを苦に命を絶ってしまったお子さんもいます。
「カゼでもないのに薬を飲まないといけない」「プールをお休みしないといけない」など、本人はとても悩んでいることもあります。
本人が起こしたくて発作を起こしているわけではなく、そのために定期的に薬を飲んでいることなど周りの理解で本人が過ごしやすい環境になるのです。