マタニティスイミングの効果について

こんにちは!
東京三鷹市のパーソナル水泳インストラクターの酒井やすはです。

今回は、マタニティスイミングをテーマにお送りします。
ヨガや太極拳などなど、数あるマタニティスポーツの中で、体重を感じさせず、全身を使うことができるスイミングはとってもおすすめです。
「泳いだことがないから」という方も安心なプログラムもあり、ここで体に負担をかけない体の使い方や泳ぎ方を身につけて、出産後の体力回復づくりにもつなげられ、親子でスイミングができるという、ハッピーな連鎖が続きますよ。

そもそもマタニティスイミングってなぁに?

妊娠中の運動不足や腰痛を和らげる、ストレスの緩和や友達づくりのチャンス…などを目的としたスイミングです。
水中運動なので、浮力があるので体への衝撃も少なく、陸上の10分の1の体重で全身運動ができ、またスイミングというスポーツの特徴でもある「呼吸」を生かして、出産時の呼吸法もマスターできます。

誤解されやすいのですが、よっぽどの体調悪化がない限り妊娠中全く動いてはいけないという決まりはなく、むしろ女性の体は妊娠周期が進むに連れて、「妊婦さん」の体になっていきます。そのサポートをするのがマタニティスポーツであり、水泳は代表的な有酸素運動なのです。

普通のスイミングと何が違うの?

水泳をやったことのある方は想像しやすいかもしれませんが、水中ウォーキングやストレッチの他、4種目(クロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライ)を泳いだり、水中で座禅をしたり、背泳ぎのように上向き姿勢をして平泳ぎのような足をしたり(平泳ぎの導入練習でよくやります。出産泳法とも呼ばれます)…体力をつけながら、出産のときの姿勢に体を慣らして安産を目指します。

水圧が赤ちゃんにかかって大変なことになるほどの心配はありません。むしろ浮力と水圧の効果でむくみが軽くなる効果があります。
まったく運動していなかった方の場合、水中ウォーキングなどから練習をスタートしますが、水中ウォーキングだけでも汗をかくほどの内容にすることはできます。

また「妊娠中にバタフライやるの?」と思われるかもしれませんが、バタフライは腰ではなく太ももの支えと上半身で泳ぐ種目なので腰にやさしい泳法なのです。きれいな姿勢をキープしにくい妊婦さんにとり、水中でバランスをとって体幹を鍛えることは重要です。
股関節に負荷のかかりやすい平泳ぎはしませんが泳げる方ならしっかり泳ぐ練習もしています。

気になるマタニティスイミングの練習と効果は?

気になる練習内容ですが、水中ウォーキングで体を慣らしてから、泳ぎの練習や体を動かす練習をします。
一人ひとりレベルに応じて4種目を泳いだり、出産のときに使う呼吸法を取り入れながら水中座禅や出産泳法をして、脚や骨盤の開閉をスムーズする運動します。
妊婦さんは、それまでスポーツをやっていた方であったとしても、やはり妊娠前のように練習はできなくなるので、体と心のリフレッシュに、また体重コントロールをするためにも、有酸素運動の水泳はおすすめです。
水泳の上達よりも大切なのは、体の使い方の「最適量」が分かるようになることです。
水泳では水の重さを感じながら運動ができるので、「頑張っているのに空回り」「ゆっくりだけどよく進む」など色々な水の重さや手ごたえを感じることができます。
「少し重たく感じる手ごたえもある、正しい姿勢もキープしているな」という感じが得られれることが大事なのです。

マタニティスイミングの醍醐味?水中座禅

水中座禅とは水中で座禅を組むことで、体が浮かないようにもう一人の方に肩を押してもらいいます。細く長く息を続けられると、それだけでも深いリラックス効果があるのですが、この呼吸法は赤ちゃんがお腹の中からクルクルと出てくる動きを助けることができます。
途中でお母さんの息が続かなくなり、「フッフッフ」と短い息継ぎをすると、赤ちゃんはクルクルと回ることをいったん止めて頭をひっこめるからなのです。
呼吸法が上手な方ほど安産な傾向があります。

水泳は横になった姿勢で行い、全身運動なので血流がよくなりむくみが改善されます。
まためぐりがよいということは酸素や栄養素が十分にいきわたるので、産後におっぱいが出やすくなる体を作ってくれます。水泳全般によく言われることですが、便秘や肩こりの改善効果も期待できます。

「妊婦さんらしい」カラダづくり

妊娠中期から後期にかけて、顔の輪郭がぼんやりとしていきます。体も、正面からも後ろから見てもお腹がでて妊婦さんであることが分かります。
元々痩せ気味であったり線の細い方が妊娠されると、「後ろから見たら妊婦さんとは気づかなかった」「もう少しぼんやりした線でよいと思うけどなぁ」ということもあります。
人により理由は様々ですが、骨盤が狭かったり、頭蓋骨から背骨にかけて緊張していたりと体の都合があるようです。
水中に入ることにより、骨から筋肉が一つずつふんわり開放されていきます。上を向いて浮けば更にリラックス効果があります。

マタニティスイミングの一連の流れで出産のイメージが付き、本番であわてないという話も聞きます。お友達もできれば情報交換もできて一石二鳥ですね。

ちなみに海外ではメジャーな水中分娩では、塩を海水とおなじぐらいの濃度にして入れると浮力の働きで陣痛が半減するのだそうです。
陣痛は一回に30秒ほどなので、それを知っているだけでも「この痛みはいつまで続くの?!」という不安からも少し解放されますよね。

マタニティスイミングで確認したいこと

まずはドクターからの許可

お医者さんに「マタニティスイミングをしたいのですが」と相談してみましょう。
周期が安定した4~5か月ごろから許可が下ります。体調が安定していれば臨月までできます。
「妊婦さんは動かないで!!」という方もいらっしゃいますが、基本的に「妊婦さんは病人ではありません」。
動きたいときにかるくリフレッシュして、休みたいときに休める環境という、体の中や心の中に余ったエネルギーを発散する環境があることが大切なのです。
何か気になることがあったら、かかりつけのお医者さんにすぐ駆け込めるように連絡先をスマホに登録したり、お手持ちの手帳や自治体からのカード等があれば記入しておきます。
水泳は血圧を上げにくいスポーツではありますが、泳ぐ前後のメディカルチェック(血圧と脈拍)も必要あれば確認しておきましょう。

マタニティ用の水着があります♪

マタニティ用に作られた、ゆとりのあるフィットネス用水着があります。
お腹周りにゆとりがあるので、お腹がポコッと出ていても、前面チャックで楽に着替えをすることが叶います。
またウエストのゴムもゆるく調節でき、締め付けないように下限を調整できます。

公共のプールでは、マタニティスイミングができるプールなのかを確認しましょう。
細かいプールの規定がある場所があるのであらかじめ確認しておきましょう。
スイミングスクールでは、マタニティスイミング用に水温が若干高めに設定されるところもあります。
公共のプールでも場所によって水温が少し変わるので、もし無理なく通える範囲にいくつかプールがあるようでしたら、問い合わせてみましょう。
競泳プールでは水温が30度前後なので、31度平均的にあれば冬でも水の中のほうが暖かいと感じます。

マタニティだけじゃない、スイミング

マタニティスイミングをすると、出産後すぐに動けるカラダになります。
元々体は、動きたいときに動くことで、余分なエネルギーも発散して、気持ちの調節をしています。
浮力の世界に入ると赤ちゃんの周りも「重力のかかった羊水の世界」から「重力のかからない羊水の世界」へと解放された世界になります。
お母さんがリラックスすることでホルモンも落ち着いて、赤ちゃんにもその指令が伝わると赤ちゃんにもハッピーな気分が移っていきます。

赤ちゃんは羊水というお母さんの海の中を泳いでいたので、生まれてすぐは泳ぐような動作をします。また、人間のもともと持っている反射の助けもあり、生まれてきた赤ちゃんは水の中できちんと息を止めることができます。
だから、赤ちゃんはお風呂で泳ぐことが大好き!
お母さんの声を聴いて、タイミングが分かるようになると、頭の上から水をかけられても、「あっぷっぷ~」と水の中に沈んでも、ちゃんと息をとめて遊べます。
立つことができるようになってきたら、高いところからジャンプして水の中にドボン!と入る遊びもできますよ。
ちなみに、赤ちゃんは目を開けていられるので、そのまま体を支えてあげるとスイスイ泳げるようにもなります。
水の中というリラックスできる環境でこうして育った赤ちゃんは、体の発達にも役立ち、夜もぐっすり眠れ、親子のスキンシップも自然ととれるのです。

無理やりではなく、赤ちゃんが楽しみながら水と親しむことができる環境がここにあるのです。