子供の発達障害の特徴や対応について ダウン症編

こんにちは!
東京三鷹市のパーソナル水泳インストラクターの酒井やすはです。

発達障害についてシリーズでお伝えしています。
今回はダウン症についてお送りします。

双子のように顔が似ているとよく聞かれるダウン症ですが、生活場面ではどのような障害があるのか、プールでの対応も含めてみてみましょう。

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こちらでは障害の表記を「障害」とさせていただきます。
福祉畑で働いていると、「表記よりも中身の方が大事だ」と思う反面、やはり気にされる方もいらっしゃると思うので、その理由を説明いたしますと、一つに私自身とその周りの方は表記よりも中身についてしっかり話し合う仲間が多い環境で生きてきたということと、音声読み上げソフトにかけた際に「障がい」表記では「さわりがい」等と誤った情報をお伝えしてしまうため、「障害」表記に統一させていただいております。

障害のあるなしに関わらず誰もが暮らしやすい社会となることを願い、お伝えしていきます。
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ダウン症ってなあに?

生まれつき染色体に何らかの変化が見られる障害です。染色体異常の障害はいくつかあり、生まれた直後から寿命が宣告されてしまい病院で過ごす方もいらっしゃいますが、ダウン症の方は学校や社会に出て暮らしている方も多くいらっしゃいます。

他の発達障害のように他の障害を合併していることが多く、特に知的障害と合併していることが多くあります。

染色体の違いが障害に出てくるため、母体の羊水検査でお腹に赤ちゃんがいるときに分かる障害で、倫理問題がたびたびニュースに取り上げられています。

必ず遺伝するものではなく、だれにでも起こりうる障害で、赤ちゃんの1000人に1人の割合でダウン症の方と言われています。

ダウン症の原因は?

人間の体の中に細胞があり、その中に23組の染色体があります。ダウン症の方はこの21番目の染色体に変化が起こり、2本あるはずの染色体が3本になったり、そのうちの1本が別の染色体にくっついたりして障害が出ます。これは「染色体異常」と呼ばれています。

染色体にかかわる障害は他にもあり、番号によって「○番トリソミー」という障害や「猫啼症候群(赤ちゃんの泣き声が猫と似ていることから)」という障害など多くあります。

しかしなぜ染色体に変化が出たのか、他の発達障害と同じく、根本的な原因は明らかになっていません。

ダウン症の特徴は?

「見た目が全体的にふっくらとしている」「顔が似ている」ことが挙げられますが、具体的に詳しくみていきましょう。

体が極端に柔らかい

ダウン症の方は生まれつき姿勢を保っていられないくらいに、筋肉や関節が極端に体が柔らかいことが特徴の一つです。

首や背骨には重要な神経の束があるにもかかわらず、関節が柔らかすぎるため、束を圧迫して体にマヒが起きたり命にかかわることもあります。

幼少期にリハビリや体操の訓練を受けることもでき、大人になったときに困らないよう姿勢を正す練習もします。

顔や体型が似ている理由は

ダウン症の方は骨格の成長が全体的にゆっくりだと言われています。
顔に限って言うと、顔の鼻の骨と、鼻の周りの骨の成長とスピードが違い、顔周りの成長にギャップが生じて、年齢を重ねると顔周りの骨が筋肉や皮膚を引っ張り、つり目や小さい鼻になる傾向が出るといわれています。

背丈が低めで全体的にふっくらしている印象もダウン症の方には多いです。
これは筋肉がやわらかすぎて緊張が入らないことで起こります。
また顎の力も弱いためにあまりかまずにご飯を食べて肥満になってしまうなどもあります。
心臓も弱く、心臓病を生まれつき持っていて疲れやすいことで運動不足になることもあります。

やわらかいから起こっていること

筋肉が柔らかいために、緊張ができず、また心臓も疲れやすかったり、目や耳が悪かったりなど、体全体として「早く動きたくても動けない」ことが多くあります。

柔らかいからこそ、手先の細かい作業がしにくく不器用に見られたり、耳が聞こえづらいために正確な音を聞きとれず、発音しようと思っても顎や口の筋肉がゆっくりで呂律が回らず(舌が短かったり長すぎたりもあります)言葉が聞き取りにくかったりします。

自律神経が働きにくく、手足が冷えやすかったり冷えに気づきにくかったり、といったこともあります。

知的障害やほかの病気もあることも

話し方ではなく、呂律が回らないことで話すことそのものが難しいことも挙げられますが、物事を覚えることもゆっくりで、人によっては知的障害も伴って「あまりよく理解できていなかったから慎重になって動作がゆっくり」ということもあります。
どちらが先・後というわけではありません。

心臓病を持っている方の中には、穴が開いて生まれてきた方もいます。
目や耳の機能に障害が出て、弱視や白内障、中耳炎や難聴に悩む人もいます。
個人差もあり、全員が全員が当てはまるわけではありません。

明るい人?頑固な人?

一般的に、ダウン症の人は明るくて人懐っこく、何かの司会者のようにふるまったり、音楽や音楽に合わせて体を動かすことが好きなことも多いようです。仕事を探すときに人と接する仕事を探す方もいます。
動きはゆっくりでもその動きを見よう見まねで覚えて得意分野にしたり、その活動を生かしたグループもあります。

一方で、言われた決まりをきちんと守ろうとする力が強く、自分の覚えた順番の途中で急に人の手が出たりすると、覚えたものやルールを守ろうとして相手を押しのけたり、子供の場合やり返してしまったりすることもあります。その場に座り込んだり腕組みをして動かなくなります。筋肉が柔らかいのでなかなか動いてもらうのに時間がかかったりします。ダウン症の人が「頑固だ」といわれる理由はここにあります。

周りの雰囲気を感じることが得意な面もあり、また周りを明るくすることが好きなことが裏目に出て、その時で言いたいことが言えず、気持ちを切り替えて別のことをしたり次の作業をすることが難しかったり、その作業が終わるまで止めなかったりということもあります。頭の中では「次のことをやらなきゃ」と分かっていることも多く、ただそのきっかけがないことで別の行動をすることが難しいようです。

体調をみながらスポーツをやってみる

体が疲れやすかったり柔らかすぎる特徴があるので、頚椎の弱い人はマット運動をやめるなどの対応が必要な方もいます。水泳の場合なら、泳いでいるときの衝突や、背泳ぎを泳いでいるときの後方確認など、他の方同様に気を付けることはもちろん、他の同年代の子どもより疲れが早くピークに達する傾向にあるので、無理に何かをさせることは避けます。

水泳の世界なら、音楽が好きなことを生かしてリズム水泳やアクアビクス、競泳でも練習中に音楽をかけてみたりなど、様子を見ながら運動を楽しむことはたくさんあります。人のやり方を見て覚えることが得意な方も多いので、弱視の方なら見やすいところに来てもらったりしてより見本を見やすくするなどの配慮で他のお子さんと一緒にできることも多くあります。徐々に体力もついて、色々な動きができたり、より長い時間楽しめるようになります。

人とかかわることが好きなので、グループ練習も楽しめる人もたくさんいます。

練習中にいやなことがあって、壁にくっついたまま離れなくなってしまったり、気持ちの切り替えがしにくかったりしたときは、数をカウントして気持ちの切り替えを助けたり、休憩をこまめにはさんだり、アイスブレイクに面白いものを取り入れたりなどで工夫できます。